■今日の例文■
「無駄よ。私の心はマグデブルグ半球のように堅いの。」
「それでも君の心を開いてみせる!!!」

今回も前回に引き続き、「真空」に関する用語です。今日扱う言葉は、「マグデブルグ半球」、口に出してみるとなんだか舌をかみそうな語感です。私のバイト先である科学実験教室でもマグデブルグ半球に関する授業があるのですが、何度噛んだことやら。

 

s-マグデブルグ半球

■マグデブルグ半球

「マグデブルグ半球」は、マグデブルグというドイツの町の市長が行った実験や、その実験で用いた半球のことを指す言葉です。
その実験の内容というのが、「真空の存在と大気圧の力がいかに大きいのかを示す」実験です。

実験では、なんと馬を用いて行われました。
①金属製の2つの半球を用意する。
②市長特製の真空ポンプで中の空気を抜く。
③それぞれの半球に馬をつなぐ。
④それぞれの馬に半球を引っ張らせる。
はたしてこの球は何頭の馬がいれば開くのか?

市民が見守る中、この実験は帝国議事堂前で行われました。場所もすごけりゃゲストもすごい。なんと、当時の神聖ローマ皇帝のフェルディナント3世の御前で行われたのです。中が真空の球をつくり、両側の馬がめいっぱい引っ張ります。しかし、この半球はびくともしなかったのです!馬を増やしていくとついに、計16頭となったときに球は開きました。実験を見守っていた市民たちはたいそう驚いたそうです。

 

 

■マグデブルグ半球が開かなかった理由

なぜこのマグデブルグ半球は開かなかったのでしょう。

金属で出来た半球では想像しにくいので、中に空気のあるくす玉と、空気を抜いたくす玉を思い浮かべてみてください。

中に空気のあるくす玉は、くす玉の外の空気が押す圧力とくす玉の中の空気が釣り合います。なので手であけようとすると簡単にあけることが出来ます。

空気を抜いたくす玉は、内側から押す力が全くなく、くす玉の外側の空気が押す力だけになります。この外側の空気が押す力が大きいので馬で引っ張ってこじ開けようとしてもびくともしなかったのです。

s-マグで2

 

■町を巻き込んだ派手な演出!

私がこの実験をして感心したのは、市長が市民やローマ皇帝を巻き込んでド派手な実験を行ったということです。この市長の名前はゲーリッケさんというのですが、ゲーリッケさんは別の公開実験で銅の半球をあわせて中の空気を抜き、球の底からつるしたおもりで力をかけていました。もちろん、いくらおもりをのせても半球は開かないわけです。

私はもしも多くの市民の前で行った実験がこちらの実験であれば、「マグデブルグ半球」の印象はもっと薄かったんじゃないかと思うんです。上記の2つのマグデブルグ半球の実験は同じ1654年に行われているのですが、前者の実験の方が有名なことからもその印象の差が伺えます。

ゲーリッケさんはこの真空の研究もすごいですが、真空の存在と大気の圧力が大きいことを示すという本質的にはほぼ同じ実験なのに、おもりを馬に変えるだけで実験にエンターテイメント性をもたせ、一般市民にも興味をもってもらうことに成功したという部分で他の物理学者とはすこし違った良さをもっていたのではないでしょうか。現代にゲーリッケさんが生存していたらクラウドファンディングで成功するタイプかもしれませんね。

 

 

■今日の例文■
「無駄よ。私の心はマグデブルグ半球のように堅いの。」
「それでも君の心を開いてみせる!!!」

 

 

ちなみに、マグデブルグ半球をあけるコツは、半球同士を少しずつずらして空気を入れること。大きな爆発音とともに開きます。
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