真っ暗な世界であんずシロップがたんまり入ったスプーンを思いっきりほおばる。上下左右もわからないほどに甘くさわやかなかおりが広がって、痛みに多い被さるようにのどにはねっとりといつまでも存在感を残すようだ。そのときふと遠い日の光景を思い出した。今日のように風邪をひき、あんずシロップを口いっぱいにほおばりながら、怖くて寝れないと、母にだだをこねた。側に入れない母は困った顔をして私の部屋にCDをかけてくれた。母のお気に入りのそのCDは洋楽で、私にはなにがなにやらわからなかったが、母のお気に入りというだけでその音色は特別で心地がよかったのだった。そんなことを考えていたら遠い昔のことなのになんだか安心してまたすこしまどろんだ。

(*・・)<おかあさんは洋楽がすき。

 

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