子ども雲は一生懸命練習した。いよいよ夜空デビューだ。

夜の空にまたかける雲は星をつかまえてはもぐもぐと食べなければいけない。この日までぱぱ雲やまま雲と一緒にたくさん練習してきたのだ。

子ども雲はふるえる手で星を捕まえた。よし、まずはひとつ。そして慎重にふたつ。どうにか成功したぞ!これでおとな雲の仲間入りだ!!そう心が躍ったとき、手から星がすべり落ちて地上へと落ちていった。ああ、油断してしまった。子ども雲は一転心がどんよりと暗くなった。

落ち込んで他の星に手をつけないでいるとなにやら地上から楽しそうな声が聞こえてくる。人間の女の子だ。

「パパ、私とてもおおきな流れ星見ちゃったの!あっちからきたの。本当よ!」彼女の目はらんらんと輝いて子ども雲の方を指さした。子ども雲は照れながら彼女の方を見ていたら、また間違えて星を落としてしまった。

ああ、しまった。だんだん自信のなくなってきた子ども雲とは真逆に彼女がまたきゃっきゃ喜ぶ。そんな笑顔をみながら、たまになら失敗しても悪くはないのかな、と少しだけ救われた気持ちになったのだった。

 

 

矢板にて
矢板にて

 

(*・・)<ベンチでなんとなく書いてたショートショート
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