桜を見ていた
一斉に咲いた桜を、大勢の人に紛れて、1人見ていた

足元を見ると腐った沈丁花の花弁が無惨に踏まれていた

家に帰ると机の上に桜の枝が二本

花を多く添えて飾られている

淡い可憐な花を見ていると、心がとりつかれそうになって

書斎から墨を持ってくると

私は私は

その墨を花の上からどぼどぼとかけてしまった

けだるい春の夕暮れ時

魔が差した瞬間だった

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